研究
組合せ論を基盤に、離散構造の理論と応用をつなぐ研究に取り組んでいます。以下に主要なテーマを紹介します。
マトロイド理論Matroid Theory
マトロイドとは、線形代数で学んだ線形独立性の概念を抽象化した組合せ構造で、下で紹介する符号やグラフ・有限幾何などに共通する性質を統一的に扱う組合せ論の分野です。
マトロイドの表現問題を中心に、有限環上の行列による表現可能性とその構造を研究しています。
近年は、局所環に由来するモジュラ独立性を用いた独立性システムの記述や、表現の拡張・比較に関する問題に取り組んでいます。
符号理論で現れる独立性概念との往復を通して、離散構造としてのマトロイドの理解を深めることを目標としています。
符号理論Coding Theory
符号理論は、情報を誤りから保護するための符号の設計と、その代数的・組合せ論的性質を研究する分野です。
有限環上の線形符号を主対象として、臨界問題・重み構造・特性多項式に関する理論を研究しています。
特に、有限鎖環上の符号や剰余環上の符号に対する臨界指数の評価、重み多項式の周期性解析に取り組んでいます。
符号とマトロイドの対応を手がかりに、符号の組合せ論的性質を定量的に記述することに関心があります。
有限幾何:射影幾何Finite Geometry: Projective Geometry
有限幾何は、有限集合上の結合構造を扱う離散幾何の分野で、有限体上の射影・アファイン幾何をはじめ、有限環に由来する射影Hjelmslev幾何や鎖幾何、Laguerre幾何なども研究されています。
有限幾何(とくに射影幾何)は、私の主対象そのものというより、符号理論とマトロイド理論をつなぐための道具として用いています。
射影空間の点・部分空間・結合関係を用いて、符号とマトロイドの構造を幾何学的に記述・整理します。
この立場から、代数的対象と組合せ的対象の対応関係を明確化し、最適符号の構成に活きる視点を与えることを目標としています。
数え上げ組合せ論Enumerative Combinatorics
数え上げ組合せ論は、離散構造の個数や母関数・多項式不変量を通じて構造を理解する分野です。
数え上げの観点から、符号とマトロイドに現れる多項式不変量の振る舞いを研究しています。
重み多項式・特性準多項式・特性多項式などが、代数的条件(基礎環や表現の型)をどのように反映するかを解析しています。
理論的評価だけでなく、具体例計算を通した現象の把握にも取り組んでいます。