§1 はじめに
符号理論における基本定理の一つに,MacWilliams恒等式があります. E E E を座標集合,n = ∣ E ∣ n=\card{E} n = ∣ E ∣ とし,有限体 F q \F_{q} F q 上の線形符号 C ≤ F q E C \leq \F_{q}^{E} C ≤ F q E に対して,その双対符号
C ⊥ = { u ∈ F q E : u ⋅ c = 0 for all c ∈ C } C^{\perp}
=
\{ u \in \F_{q}^{E} : u \cdot c = 0 \text{ for all } c \in C \} C ⊥ = { u ∈ F q E : u ⋅ c = 0 for all c ∈ C }
を考えます.ここで
u ⋅ c = ∑ e ∈ E u e c e u \cdot c = \sum_{e \in E} u_{e} c_{e} u ⋅ c = e ∈ E ∑ u e c e
です. 符号語 c ∈ F q E c \in \F_{q}^{E} c ∈ F q E の台 (support ) とHamming重み (Hamming weight ) を
supp ( c ) = { e ∈ E : c e ≠ 0 } , wt ( c ) = ∣ supp ( c ) ∣ \supp(c) = \{ e \in E: c_{e} \neq 0 \},
\qquad
\wt(c) = \card{\supp(c)} supp ( c ) = { e ∈ E : c e = 0 } , wt ( c ) = ∣ supp ( c ) ∣
と書きます. 線形符号 C C C の重み多項式 (weight enumerator ) を
W C ( X , Y ) = ∑ c ∈ C X n − wt ( c ) Y wt ( c ) W_{C}(X,Y)
=
\sum_{c \in C} X^{n - \wt(c)} Y^{\wt(c)} W C ( X , Y ) = c ∈ C ∑ X n − wt ( c ) Y wt ( c )
で定めます. MacWilliams恒等式は,双対符号の重み多項式が,C C C の重み多項式から次のように計算できるという公式です:
W C ⊥ ( X , Y ) = 1 ∣ C ∣ W C ( X + ( q − 1 ) Y , X − Y ) . W_{C^{\perp}}(X, Y)
=
\frac{1}{\card{C}}
W_{C}\bigl( X + (q - 1)Y, X - Y\bigr). W C ⊥ ( X , Y ) = ∣ C ∣ 1 W C ( X + ( q − 1 ) Y , X − Y ) .
これがMacWilliams恒等式です.
この連載では,MacWilliams恒等式の証明を手掛かりに, 周辺分野・周辺概念への入門を試みます. そのため,本連載では以下のような読者を対象としています:
符号理論の初歩,具体的には
程度は既知であることを前提としています (MacWilliams恒等式の証明は知らなくても問題ありません).
本稿は第1回から第7回を前提にしません. 後半では,加法指標の直交性に相当する計算と完全重み多項式を使いますが, 必要な定義と事実は本稿内で導入します. なお,本稿では「なぜこの五系統に分けるのか」という連載全体の動機には深入りせず, 群作用・巡回指数の言葉だけで今回の証明が読めるように構成します.
この連載では,MacWilliams恒等式の証明手法を大きく次の五つの系統に分けて眺めています. ただし,この分類は連載全体の見取り図であり,本稿の証明を読むために必須ではありません:
今回扱う証明は,表面的には
群作用・Burnsideの補題・Pólya計数・巡回指数
の言葉で書かれます. 五つの系統に圧縮すれば,これは「Fourier・指標・Poisson系 」寄りです. なぜなら,最後に双対符号 C ⊥ C^{\perp} C ⊥ を取り出す場面では, 有限体 F q \F_q F q の加法指標,あるいは同じことですが加法群 ( F q , + ) (\F_q,+) ( F q , + ) の指標表が現れるからです. ただし,本稿の主役は指標論ではありません. 今回の目標は,MacWilliams恒等式の証明を案内役として, 群作用と巡回指数 に入門することです.
群作用とは,群の元が集合の対称性として振る舞う状況を記述する言葉です. 有限集合に群が作用しているとき,その集合は軌道に分解されます. 軌道の個数を不動点の平均として数える公式が Burnside の補題です. さらに,群の元を置換として見て,その巡回分解を記録したものが巡回指数です. Pólya計数では,この巡回指数に変数を代入することで, 対称性を込めた彩色の数え上げができます.
符号理論では,符号語 c = ( c e ) e ∈ E c = (c_{e})_{e \in E} c = ( c e ) e ∈ E を各座標での平行移動
a ⟼ a + c e a \longmapsto a + c_{e} a ⟼ a + c e
として見ることができます. つまり,符号 C C C から置換群を作ることができます. この置換群の巡回指数は,ほとんどそのまま C C C の重み多項式を記録しています. さらに,巡回指数を少し精密化して,各座標での平行移動量 c e ∈ F q c_{e} \in \F_{q} c e ∈ F q そのものを記録すると, 完全重み多項式が現れます. この精密化された巡回指数を通してMacWilliams恒等式を見るのが,本稿の方針です.
本稿の流れは次のようになります.
群作用 → 軌道と不動点 → Burnsideの補題 → 巡回指数 → Pólya計数 → 符号から作る置換群 → 完全巡回指数 → MacWilliams恒等式
巡回指数と符号の重み多項式の関係については, Cameron [Cam02] が, 線形符号に付随する置換群の巡回指数が, 正規化を除いて重み多項式になることを述べています. 完全巡回指数と完全重み多項式の関係については, 三枝崎–大浦 [MO19] を参照してください. また,Pólya計数や巡回指数の古典的な扱いについては Pólya [Ply37] ,Harary–Palmer [HP73] などを参照してください. 置換群の基本事項については Cameron [Cam95] も標準的です.
§2 群作用
まず,群作用の定義から始めます. ここでは有限群だけを扱います. なお,符号理論では G G G が生成行列を表すことも多いですが,本稿では群作用の一般論に合わせて,G G G は群を表す記号として使います. 生成行列を表す記号ではないので注意してください.
定義2.1.
G G G を群,Ω \Omega Ω を集合とする. G G G が Ω \Omega Ω に作用する (act ) とは, 各 g ∈ G g \in G g ∈ G と各 x ∈ Ω x \in \Omega x ∈ Ω に対して元 g ⋅ x ∈ Ω g \cdot x \in \Omega g ⋅ x ∈ Ω が定まり, 次の二条件を満たすことをいう:
単位元 1 G ∈ G 1_{G} \in G 1 G ∈ G に対して,任意の x ∈ Ω x \in \Omega x ∈ Ω で
1 G ⋅ x = x 1_{G} \cdot {x} = x 1 G ⋅ x = x
が成り立つ.
任意の g , h ∈ G g, h \in G g , h ∈ G と x ∈ Ω x \in \Omega x ∈ Ω に対して
g ⋅ ( h ⋅ x ) = ( g h ) ⋅ x g \cdot (h \cdot x) = (gh) \cdot x g ⋅ ( h ⋅ x ) = ( g h ) ⋅ x
が成り立つ.
このとき,Ω \Omega Ω を G G G -集合 (G G G -set ) という.
群作用は,「群の元を集合の対称性として実現する」ことです. 実際,各 g ∈ G g \in G g ∈ G に対して写像
Ω → Ω , x ↦ g ⋅ x \Omega \to \Omega,
\qquad
x \mapsto g \cdot x Ω → Ω , x ↦ g ⋅ x
が定まります.この写像は全単射です. 逆写像は x ↦ g − 1 ⋅ x x \mapsto g^{-1} \cdot x x ↦ g − 1 ⋅ x です. したがって,G G G の各元は Ω \Omega Ω 上の置換を定めます.
例2.2(対称群の自然な作用).
Ω = { 1 , 2 , … , n } \Omega = \{ 1, 2, \dots, n \} Ω = { 1 , 2 , … , n } とする. Ω \Omega Ω の置換全体からなる群を Sym ( Ω ) \Sym(\Omega) Sym ( Ω ) と書く. このとき Sym ( Ω ) \Sym(\Omega) Sym ( Ω ) は Ω \Omega Ω に自然に作用する. 具体的には,置換 σ ∈ Sym ( Ω ) \sigma \in \Sym(\Omega) σ ∈ Sym ( Ω ) と点 i ∈ Ω i \in \Omega i ∈ Ω に対して
σ ⋅ i ≔ σ ( i ) \sigma \cdot i \coloneqq \sigma(i) σ ⋅ i : = σ ( i )
と定めればよい.
例2.3(巡回群の正多角形への作用).
正 m m m 角形の頂点集合を
Ω = { 0 , 1 , … , m − 1 } \Omega = \{ 0, 1, \dots, m - 1 \} Ω = { 0 , 1 , … , m − 1 }
と番号づける. 巡回群 Z / m Z \mathbb{Z}/m\mathbb{Z} Z / m Z は,回転によって Ω \Omega Ω に作用する. 具体的には
a ‾ ⋅ i = i + a ( m o d m ) \overline{a} \cdot i = i + a \pmod{m} a ⋅ i = i + a ( mod m )
である.
符号理論に近い例も見ておきます.
例2.4(符号による平行移動作用).
V = F q E V = \F_{q}^{E} V = F q E とし,C ≤ V C \leq V C ≤ V を線形符号とする. C C C を加法群として見れば,C C C は V V V に平行移動で作用する:
c ⋅ v = v + c ( c ∈ C , v ∈ V ) . c \cdot v = v + c
\qquad(c \in C,\, v \in V). c ⋅ v = v + c ( c ∈ C , v ∈ V ) .
この作用の軌道は C C C の剰余類
v + C = { v + c : c ∈ C } v + C = \{ v + c: c \in C\} v + C = { v + c : c ∈ C }
である.
この例では,群作用によって V V V が剰余類に分解されます. これが「群作用は対象を対称性で割る」という感覚です.
§3 軌道,不動点,安定化群
群作用で最初に見るべきものは,軌道と不動点です.
定義3.1.
G G G が集合 Ω \Omega Ω に作用しているとする. x ∈ Ω x \in \Omega x ∈ Ω に対して,
Orb G ( x ) ≔ { g ⋅ x : g ∈ G } \Orb_{G}(x)
\coloneqq
\{ g \cdot x: g \in G \} Orb G ( x ) : = { g ⋅ x : g ∈ G }
を x x x の軌道 (orbit ) という. また,
Stab G ( x ) ≔ { g ∈ G : g ⋅ x = x } \Stab_{G}(x)
\coloneqq
\{ g \in G:g \cdot x = x \} Stab G ( x ) : = { g ∈ G : g ⋅ x = x }
を x x x の安定化群 (stabilizer ) という. さらに,g ∈ G g \in G g ∈ G に対して
Fix Ω ( g ) ≔ { x ∈ Ω : g ⋅ x = x } \Fix_{\Omega}(g)
\coloneqq
\{ x \in \Omega: g \cdot x = x \} Fix Ω ( g ) : = { x ∈ Ω : g ⋅ x = x }
を g g g の不動点集合 (fixed point set ) という.
軌道は,点 x x x を群の元で動かして到達できる点全体です. 安定化群は,点 x x x を動かさない群の元全体です. 不動点集合は,群の元 g g g が動かさない点全体です. なお,Stab G ( x ) \Stab_{G}(x) Stab G ( x ) は実際に G G G の部分群です. 単位元は x x x を固定し,x x x を固定する二つの元の積も x x x を固定し,さらに x x x を固定する元の逆元も x x x を固定するからです. 軌道と安定化群の間には,基本的な関係があります.
定理3.2(軌道・安定化群定理).
有限群 G G G が有限集合 Ω \Omega Ω に作用しているとする. このとき任意の x ∈ Ω x \in \Omega x ∈ Ω に対して
∣ Orb G ( x ) ∣ ∣ Stab G ( x ) ∣ = ∣ G ∣ \card{\Orb_G(x)}\card{\Stab_G(x)} = \card{G} ∣ Orb G ( x ) ∣ ∣ Stab G ( x ) ∣ = ∣ G ∣
が成り立つ.
証明 写像
G → Orb G ( x ) , g ↦ g ⋅ x G \to \Orb_{G}(x),
\qquad
g \mapsto g \cdot x G → Orb G ( x ) , g ↦ g ⋅ x
を考える. g ⋅ x = h ⋅ x g \cdot x = h \cdot x g ⋅ x = h ⋅ x であることは,
h − 1 g ⋅ x = x h^{-1}g \cdot x = x h − 1 g ⋅ x = x
と同値である. つまり h − 1 g ∈ Stab G ( x ) h^{-1}g \in \Stab_{G}(x) h − 1 g ∈ Stab G ( x ) と同値である. したがって,Orb G ( x ) \Orb_{G}(x) Orb G ( x ) の各点の逆像は, Stab G ( x ) \Stab_{G}(x) Stab G ( x ) と同じ個数の元を持つ.よって
∣ G ∣ = ∣ Orb G ( x ) ∣ ∣ Stab G ( x ) ∣ \card{G}
= \card{\Orb_{G}(x)}\card{\Stab_{G}(x)} ∣ G ∣ = ∣ Orb G ( x ) ∣ ∣ Stab G ( x ) ∣
となる.
証明終わり □
この定理は,後でBurnsideの補題を証明するときに使います. 直感的には,軌道が大きい点ほど,その点を固定する対称性は少ない,ということを表しています.
§4 Burnsideの補題
群作用によって集合 Ω \Omega Ω がいくつかの軌道に分かれるとき, その軌道の個数を不動点の平均で求める公式が Burnside の補題です. Cauchy–Frobeniusの補題と呼ばれることもあります.
定理4.1(Burnsideの補題).
有限群 G G G が有限集合 Ω \Omega Ω に作用しているとする. このとき軌道の個数は
∣ Ω / G ∣ = 1 ∣ G ∣ ∑ g ∈ G ∣ Fix Ω ( g ) ∣ \card{\Omega/G}
=
\frac{1}{\card{G}}
\sum_{g \in G}\card{\Fix_{\Omega}(g)} ∣ Ω/ G ∣ = ∣ G ∣ 1 g ∈ G ∑ ∣ Fix Ω ( g ) ∣
で与えられる. ここで Ω / G \Omega/G Ω/ G は軌道全体の集合を表す.
証明 集合
S = { ( g , x ) ∈ G × Ω : g ⋅ x = x } S =
\{ (g, x) \in G \times \Omega: g \cdot x = x \} S = {( g , x ) ∈ G × Ω : g ⋅ x = x }
を二通りに数える.
まず g ∈ G g \in G g ∈ G を固定して数えると,g ⋅ x = x g \cdot x = x g ⋅ x = x を満たす x x x の数は ∣ Fix Ω ( g ) ∣ \card{\Fix_{\Omega}(g)} ∣ Fix Ω ( g ) ∣ である.したがって
∣ S ∣ = ∑ g ∈ G ∣ Fix Ω ( g ) ∣ . \card{S} = \sum_{g \in G}\card{\Fix_{\Omega}(g)}. ∣ S ∣ = g ∈ G ∑ ∣ Fix Ω ( g ) ∣ .
次に x ∈ Ω x \in \Omega x ∈ Ω を固定して数えると,g ⋅ x = x g \cdot x = x g ⋅ x = x を満たす g g g の数は ∣ Stab G ( x ) ∣ \card{\Stab_{G}(x)} ∣ Stab G ( x ) ∣ である.よって
∣ S ∣ = ∑ x ∈ Ω ∣ Stab G ( x ) ∣ . \card{S}
= \sum_{x \in \Omega}\card{\Stab_{G}(x)}. ∣ S ∣ = x ∈ Ω ∑ ∣ Stab G ( x ) ∣ .
ここで Ω \Omega Ω を軌道ごとに分ける. 一つの軌道 O \mathcal{O} O を固定すると, 任意の x ∈ O x\in \mathcal{O} x ∈ O について軌道・安定化群定理より
∣ Stab G ( x ) ∣ = ∣ G ∣ ∣ O ∣ \card{\Stab_{G}(x)} = \frac{\card{G}}{\card{\mathcal{O}}} ∣ Stab G ( x ) ∣ = ∣ O ∣ ∣ G ∣
である.したがって,この軌道からの寄与は
∑ x ∈ O ∣ Stab G ( x ) ∣ = ∣ O ∣ ⋅ ∣ G ∣ ∣ O ∣ = ∣ G ∣ \sum_{x \in \mathcal{O}}\card{\Stab_{G}(x)}
=
\card{\mathcal{O}} \cdot \frac{\card{G}}{\card{\mathcal{O}}}
=
\card{G} x ∈ O ∑ ∣ Stab G ( x ) ∣ = ∣ O ∣ ⋅ ∣ O ∣ ∣ G ∣ = ∣ G ∣
である. 軌道一つにつき ∣ G ∣ \card{G} ∣ G ∣ の寄与があるので,
∣ S ∣ = ∣ Ω / G ∣ ∣ G ∣ \card{S} = \card{\Omega/G}\card{G} ∣ S ∣ = ∣ Ω/ G ∣ ∣ G ∣
となる.
二通りの式を比較して ∣ G ∣ \card{G} ∣ G ∣ で割れば主張を得る.
証明終わり □
Burnsideの補題の要点は,
軌道数は不動点数の平均である.
という一文に尽きます. この「群作用に沿って平均する」という発想が,巡回指数やPólya計数につながります. MacWilliams恒等式の証明でも平均が現れます. ただし,Burnsideの補題そのものが双対符号 C ⊥ C^{\perp} C ⊥ を直接与えるわけではありません. Burnsideの補題では,不動点数を群の元 g ∈ G g \in G g ∈ G にわたって平均します. 一方,後のMacWilliams恒等式の証明では,加法群としての C C C の元 c ∈ C c \in C c ∈ C にわたって 指標値 ψ ( u ⋅ c ) \psi(u \cdot c) ψ ( u ⋅ c ) を平均し,その直交性によって u ∈ C ⊥ u \in C^{\perp} u ∈ C ⊥ かどうかを判別します. 共通しているのは,群の元にわたる平均が,対称性や直交性を取り出すための装置として働く点です. そのため,Burnsideの補題で現れる平均操作は,今回の見方の入口になります.
§5 置換の巡回分解と巡回指数
ここから巡回指数に入ります. 有限集合 Ω \Omega Ω 上の置換 σ ∈ Sym ( Ω ) \sigma \in \Sym(\Omega) σ ∈ Sym ( Ω ) は,互いに交わらない巡回置換の積に分解できます. 例えば
σ = ( 1 3 5 ) ( 2 4 ) \sigma = (1 \; 3 \; 5)(2 \; 4) σ = ( 1 3 5 ) ( 2 4 )
であれば,3 3 3 -サイクルが一つ,2 2 2 -サイクルが一つあります. 不動点は 1 1 1 -サイクルと見なします.
定義5.1.
Ω \Omega Ω を有限集合とし,σ ∈ Sym ( Ω ) \sigma \in \Sym(\Omega) σ ∈ Sym ( Ω ) とする. ℓ ≥ 1 \ell \geq 1 ℓ ≥ 1 に対して,σ \sigma σ の巡回分解に現れる長さ ℓ \ell ℓ のサイクルの個数を
c ℓ ( σ ) c_{\ell}(\sigma) c ℓ ( σ )
と書く. 列 ( c 1 ( σ ) , c 2 ( σ ) , … ) (c_{1}(\sigma), c_{2}(\sigma),\dots) ( c 1 ( σ ) , c 2 ( σ ) , … ) を σ \sigma σ の巡回型 (cycle type ) という.
もちろん Ω \Omega Ω は有限集合なので,十分大きい ℓ \ell ℓ について c ℓ ( σ ) = 0 c_{\ell}(\sigma) = 0 c ℓ ( σ ) = 0 です.また,
∑ ℓ ≥ 1 ℓ c ℓ ( σ ) = ∣ Ω ∣ \sum_{\ell \geq 1} \ell c_{\ell}(\sigma) = \card{\Omega} ℓ ≥ 1 ∑ ℓ c ℓ ( σ ) = ∣ Ω ∣
です.
定義5.2(巡回指数).
有限群 G G G が有限集合 Ω \Omega Ω に作用しているとする. 各 g ∈ G g \in G g ∈ G は Ω \Omega Ω 上の置換を定めるため, その巡回数 c ℓ ( g ) c_{\ell}(g) c ℓ ( g ) を考えられる. G G G の巡回指数 (cycle index ) を
Z G , Ω ( s 1 , s 2 , … ) ≔ 1 ∣ G ∣ ∑ g ∈ G ∏ ℓ ≥ 1 s ℓ c ℓ ( g ) \Zcycle_{G,\Omega}(s_{1}, s_{2}, \dots)
\coloneqq
\frac{1}{\card{G}}
\sum_{g \in G} \prod_{\ell \geq 1} s_{\ell}^{c_{\ell}(g)} Z G , Ω ( s 1 , s 2 , … ) : = ∣ G ∣ 1 g ∈ G ∑ ℓ ≥ 1 ∏ s ℓ c ℓ ( g )
で定める.
本稿では,群の元にわたる平均として巡回指数を定義しています. 厳密には,巡回指数は抽象群 G G G だけで決まるものではなく, G G G がどの有限集合 Ω \Omega Ω にどう作用しているかに依存します. 同じ群でも,異なる作用を考えれば巡回指数は変わり得ます. 文献によっては,1 / ∣ G ∣ 1/\card{G} 1/ ∣ G ∣ を付けない非正規化版を使うこともあります. どちらを使っても本質は同じですが,Pólya計数では平均型の方がBurnsideの補題と直接対応します.
例5.3(三角形の回転群).
Ω \Omega Ω を三角形の三つの頂点集合とし, G = Z / 3 Z G = \mathbb{Z}/3\mathbb{Z} G = Z /3 Z が Ω \Omega Ω に回転で作用しているとする. 恒等変換は三つの点を固定するので,巡回型は c 1 = 3 c_{1} = 3 c 1 = 3 である. 非自明な二つの回転は,いずれも三つの頂点を一つの 3 3 3 -サイクルで回すので,巡回型は c 3 = 1 c_3=1 c 3 = 1 である. したがって
Z G , Ω ( s 1 , s 2 , s 3 , … ) = 1 3 ( s 1 3 + 2 s 3 ) \Zcycle_{G,\Omega}(s_{1}, s_{2}, s_{3}, \dots)
=
\frac{1}{3}\left( s_{1}^{3} + 2s_{3} \right) Z G , Ω ( s 1 , s 2 , s 3 , … ) = 3 1 ( s 1 3 + 2 s 3 )
である.
例えば三角形の頂点を二色で塗るなら,巡回指数の変数に s 1 = 2 s_{1}=2 s 1 = 2 , s 3 = 2 s_{3}=2 s 3 = 2 と代入すればよいです. これは,後で見るPólya計数で,長さ 1 1 1 のサイクルにも長さ 3 3 3 のサイクルにも二色の選び方がそれぞれ二通りある,と読むことに対応します. このとき軌道数は
1 3 ( 2 3 + 2 ⋅ 2 ) = 4 \frac{1}{3}\left(2^{3}+2\cdot 2\right)=4 3 1 ( 2 3 + 2 ⋅ 2 ) = 4
となります. つまり,巡回指数に代入すると,回転で同じと見なす二色彩色が四通りあることが分かります.
巡回指数は,群作用の情報を完全に記録しているわけではありません. しかし,彩色の数え上げに必要な情報を非常に効率よく圧縮しています. 次節でこの点を見ます.
§6 Pólya計数
Pólya計数は,群作用の下で同じと見なす彩色を数える方法です. ここでは重み付きの形を述べます.
有限集合 Ω \Omega Ω を「場所」の集合,有限集合 A A A を「色」の集合とします. 彩色とは写像 f : Ω → A f \colon \Omega \to A f : Ω → A のことです. G G G が Ω \Omega Ω に作用していると,G G G は彩色全体 A Ω A^{\Omega} A Ω にも作用します. 作用は
( g ⋅ f ) ( x ) = f ( g − 1 ⋅ x ) (g \cdot f)(x) = f(g^{-1} \cdot x) ( g ⋅ f ) ( x ) = f ( g − 1 ⋅ x )
で定めます.これは,場所を g − 1 g^{-1} g − 1 で戻してから色を見るという定義です. これは,場所を動かす作用から,関数を引き戻す作用を作っていると考えられます. ここで g − 1 g^{-1} g − 1 を使うのは,彩色全体への作用も左作用にするためです. この定義なら g ⋅ ( h ⋅ f ) = ( g h ) ⋅ f g\cdot(h\cdot f)=(gh)\cdot f g ⋅ ( h ⋅ f ) = ( g h ) ⋅ f が成り立ちます.
各色 a ∈ A a \in A a ∈ A に重み変数 w a w_{a} w a を割り当てます. 彩色 f f f の重み単項式 (weight monomial ) を
mon ( f ) = ∏ x ∈ Ω w f ( x ) \mon(f)
= \prod_{x \in \Omega} w_{f(x)} mon ( f ) = x ∈ Ω ∏ w f ( x )
で定めます.この重み単項式は,G G G の作用で変わりません. 実際,g g g は Ω \Omega Ω の置換なので,積の順番を入れ替えているだけです. したがって,彩色の軌道 O \mathcal{O} O に対して,その重み単項式 mon ( O ) \mon(\mathcal{O}) mon ( O ) が定まります.
定理6.1(Pólyaの数え上げ定理).
有限群 G G G が有限集合 Ω \Omega Ω に作用しているとする. 色集合を A A A とし,各色 a ∈ A a \in A a ∈ A に重み変数 w a w_{a} w a を割り当てる. ℓ ≥ 1 \ell \geq 1 ℓ ≥ 1 に対して
P ℓ = ∑ a ∈ A w a ℓ P_{\ell} = \sum_{a \in A} w_{a}^{\ell} P ℓ = a ∈ A ∑ w a ℓ
とおく. このとき,彩色の軌道重み単項式の和は
∑ O ∈ A Ω / G mon ( O ) = Z G , Ω ( P 1 , P 2 , P 3 , … ) \sum_{\mathcal{O} \in A^{\Omega}/G}\mon(\mathcal{O})
= \Zcycle_{G,\Omega}(P_{1}, P_{2}, P_{3}, \dots) O ∈ A Ω / G ∑ mon ( O ) = Z G , Ω ( P 1 , P 2 , P 3 , … )
で与えられる.
証明 Burnsideの補題を重み付きで使う. 重み単項式は軌道上で一定なので,軌道重み単項式の和は
1 ∣ G ∣ ∑ g ∈ G ∑ f ∈ A Ω g ⋅ f = f mon ( f ) \frac{1}{\card{G}}
\sum_{g \in G}
\sum_{\substack{f \in A^{\Omega} \\ g \cdot f = f}}
\mon(f) ∣ G ∣ 1 g ∈ G ∑ f ∈ A Ω g ⋅ f = f ∑ mon ( f )
に等しい. 実際,一つの軌道 O \mathcal{O} O を固定すると,その軌道に属する各 f f f について 固定する群元の個数は ∣ Stab G ( f ) ∣ \card{\Stab_{G}(f)} ∣ Stab G ( f ) ∣ である. 軌道・安定化群定理より,軌道全体からの寄与は
1 ∣ G ∣ ∣ O ∣ ∣ Stab G ( f ) ∣ mon ( f ) = mon ( O ) \frac{1}{\card{G}}
\card{\mathcal{O}}\card{\Stab_G(f)}\mon(f)
=
\mon(\mathcal{O}) ∣ G ∣ 1 ∣ O ∣ ∣ Stab G ( f ) ∣ mon ( f ) = mon ( O )
である.
次に g ∈ G g \in G g ∈ G を固定して,g g g で固定される彩色を数える. 彩色 f f f が g ⋅ f = f g \cdot f = f g ⋅ f = f を満たすことは,f f f が g g g の各サイクル上で一定であることと同値である. 長さ ℓ \ell ℓ のサイクル一つに色 a ∈ A a \in A a ∈ A を塗ると,重み単項式として w a ℓ w_{a}^{\ell} w a ℓ が寄与する. したがって,長さ ℓ \ell ℓ のサイクル一つからの寄与は
P ℓ = ∑ a ∈ A w a ℓ P_{\ell} = \sum_{a \in A} w_{a}^{\ell} P ℓ = a ∈ A ∑ w a ℓ
である. g g g には長さ ℓ \ell ℓ のサイクルが c ℓ ( g ) c_{\ell}(g) c ℓ ( g ) 個あるので,g g g で固定される彩色全体の重み単項式の和は
∏ ℓ ≥ 1 P ℓ c ℓ ( g ) \prod_{\ell \geq 1} P_{\ell}^{c_{\ell}(g)} ℓ ≥ 1 ∏ P ℓ c ℓ ( g )
である. これを g ∈ G g \in G g ∈ G について平均すると
1 ∣ G ∣ ∑ g ∈ G ∏ ℓ ≥ 1 P ℓ c ℓ ( g ) = Z G , Ω ( P 1 , P 2 , P 3 , … ) \frac{1}{\card{G}}
\sum_{g \in G}\prod_{\ell \geq 1} P_{\ell}^{c_{\ell}(g)}
=
\Zcycle_{G,\Omega}(P_{1}, P_{2}, P_{3}, \dots) ∣ G ∣ 1 g ∈ G ∑ ℓ ≥ 1 ∏ P ℓ c ℓ ( g ) = Z G , Ω ( P 1 , P 2 , P 3 , … )
となる.
証明終わり □
この定理が示しているのは,巡回指数が「固定される彩色の重み単項式の和」を一括して記録しているということです. 置換 g g g のサイクル上では,固定される彩色は一定でなければなりません. そのため,長さ ℓ \ell ℓ のサイクルに対して w a ℓ w_{a}^{\ell} w a ℓ が現れます. この「サイクルごとに寄与を掛け合わせ,群全体で平均する」という考え方が,巡回指数の核心です.
ここまでの Burnside の補題と Pólya計数は,後で使う巡回指数が「群の元にわたる平均」として何を記録しているかを理解するための準備です. 以下のMacWilliams恒等式の証明では,Pólya計数定理そのものを直接適用するわけではありません. むしろ,巡回指数的な平均表示を符号から作った置換群に適用し,最後に加法指標の直交性で双対符号を取り出します.
§7 符号から置換群を作る
ここから符号理論に戻ります. 線形符号 C ≤ F q E C \leq \F_{q}^{E} C ≤ F q E から置換群を作ります. q = p m q = p^{m} q = p m と書き,p p p を標数とします.
先ほどの例では C C C が空間 V = F q E V=\F_q^E V = F q E 全体に平行移動で作用しました. ここからは別の作用を考えます. 前の作用は,V = F q E V=\F_q^E V = F q E 全体を C C C の剰余類に分けるための作用でした. ここで使う作用は,各座標ファイバー { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q 上で得られる置換の巡回型を見るための作用です. 目的が違うため,作用する集合も V V V ではなく,下で定める Ω C = E × F q \Omega_C=E\times\F_q Ω C = E × F q に変えます. 各座標 e e e ごとに F q \F_q F q のコピーを一つ用意し,そのコピー { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q 上で c e c_e c e だけ平行移動します. このようにすると,符号語の各座標が零か非零か,したがってHamming重みが置換の巡回型として見えるようになります. 非零値そのものを区別するには,後で導入する完全巡回指数が必要です.
集合
Ω C ≔ E × F q \Omega_{C}
\coloneqq
E\times \F_{q} Ω C : = E × F q
を考えます. これは,各座標 e ∈ E e \in E e ∈ E ごとに F q \F_q F q のコピーを一つ置いた集合です. 必要なら,射影
E × F q → E , ( e , a ) ↦ e E\times\F_q \to E,
\qquad
(e,a)\mapsto e E × F q → E , ( e , a ) ↦ e
のもとで,e e e の上のファイバーが { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q である,と見ることもできます. ただし,以下では初学者向けに「e e e 番目のコピー」と呼ぶことにします. 符号語 c = ( c e ) e ∈ E ∈ C c = (c_{e})_{e \in E} \in C c = ( c e ) e ∈ E ∈ C に対して,Ω C \Omega_{C} Ω C 上の置換 σ c \sigma_{c} σ c を
σ c ( e , a ) = ( e , a + c e ) ( e ∈ E , a ∈ F q ) \sigma_{c}(e, a) = (e, a + c_{e})
\qquad(e \in E,\, a \in \F_{q}) σ c ( e , a ) = ( e , a + c e ) ( e ∈ E , a ∈ F q )
で定めます. つまり,e e e 番目のコピー { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q 上では,F q \F_{q} F q を c e c_{e} c e だけ平行移動します.
命題7.1.
写像
C → Sym ( Ω C ) , c ↦ σ c C \to \Sym(\Omega_{C}),
\qquad
c \mapsto \sigma_{c} C → Sym ( Ω C ) , c ↦ σ c
は加法群としての C C C から置換群への単射準同型である. したがって
G ( C ) ≔ { σ c : c ∈ C } G(C) \coloneqq \{ \sigma_{c} : c \in C \} G ( C ) : = { σ c : c ∈ C }
は C C C と同型な置換群である.
証明 c , d ∈ C c, d \in C c , d ∈ C とする. 任意の ( e , a ) ∈ Ω C (e, a) \in \Omega_{C} ( e , a ) ∈ Ω C に対して
σ c ( σ d ( e , a ) ) = σ c ( e , a + d e ) = ( e , a + d e + c e ) = σ c + d ( e , a ) \sigma_{c}(\sigma_{d}(e, a))
= \sigma_{c}(e, a + d_{e})
= (e, a + d_{e} + c_{e})
= \sigma_{c+d}(e,a) σ c ( σ d ( e , a )) = σ c ( e , a + d e ) = ( e , a + d e + c e ) = σ c + d ( e , a )
である.したがって σ c σ d = σ c + d \sigma_{c}\sigma_{d} = \sigma_{c+d} σ c σ d = σ c + d であり,準同型である.
また,σ c \sigma_{c} σ c が恒等置換なら,任意の e ∈ E e \in E e ∈ E と任意の a ∈ F q a \in \F_{q} a ∈ F q に対して a + c e = a a + c_{e} = a a + c e = a である.したがって c e = 0 c_{e} = 0 c e = 0 がすべての e e e で成り立ち,c = 0 c = 0 c = 0 である. よって単射である.
証明終わり □
以下では,この単射によって G ( C ) G(C) G ( C ) の元を符号語 c ∈ C c \in C c ∈ C で添字づけ, G ( C ) G(C) G ( C ) 上の平均を C C C 上の平均として書きます.
この置換群 G ( C ) G(C) G ( C ) の巡回指数を計算すると,重み多項式が現れます. まず一座標の様子を見ます. c e = 0 c_{e} = 0 c e = 0 なら,写像 a ↦ a + c e a \mapsto a + c_{e} a ↦ a + c e は恒等写像なので, F q \F_{q} F q 上に q q q 個の 1 1 1 -サイクルを持ちます. 一方,c e ≠ 0 c_{e} \neq 0 c e = 0 なら,a ↦ a + c e a \mapsto a + c_{e} a ↦ a + c e は非自明な平行移動です. 有限体 F q \F_{q} F q の加法群では,非零元 c e c_{e} c e の加法位数は p p p です. したがって,この平行移動の各軌道は長さ p p p であり, F q \F_{q} F q は q / p q/p q / p 個の p p p -サイクルに分解されます. ここでサイクル長が q q q ではなく p p p になる点に注意します. 加法群としての F q \F_q F q は F p \F_p F p 上の m m m 次元ベクトル空間なので,任意の非零元 d d d について
0 , d , 2 d , … , ( p − 1 ) d 0,\ d,\ 2d,\ \dots,\ (p-1)d 0 , d , 2 d , … , ( p − 1 ) d
という長さ p p p の巡回が現れます. したがって,F q \F_q F q 全体は q / p q/p q / p 個の p p p -サイクルに分かれます. 例えば q = 4 q=4 q = 4 では標数は p = 2 p=2 p = 2 です. したがって,非零の平行移動 a ↦ a + d a\mapsto a+d a ↦ a + d は,F 4 \F_4 F 4 上の 4 4 4 点を一つの 4 4 4 -サイクルにするのではなく,二つの 2 2 2 -サイクルに分けます.
定理7.2(符号の置換群の巡回指数).
C ≤ F q E C \leq \F_{q}^{E} C ≤ F q E を線形符号とし,q = p m q = p^{m} q = p m とする. 上で定めた置換群 G ( C ) G(C) G ( C ) の巡回指数は
Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = 1 ∣ C ∣ ∑ c ∈ C s 1 q ( n − wt ( c ) ) s p ( q / p ) wt ( c ) (7.1) \Zcycle_{G(C),\Omega_C}(s_{1}, s_{2}, \dots)
=
\frac{1}{\card{C}}
\sum_{c \in C}
s_{1}^{q(n - \wt(c))} s_{p}^{(q/p)\wt(c)}
\tag{7.1} Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = ∣ C ∣ 1 c ∈ C ∑ s 1 q ( n − wt ( c )) s p ( q / p ) wt ( c ) ( 7.1 )
である.
証明 c ∈ C c \in C c ∈ C を固定する. c e = 0 c_{e} = 0 c e = 0 である座標 e e e では,{ e } × F q \{ e \} \times \F_{q} { e } × F q 上に q q q 個の 1 1 1 -サイクルが現れる. そのような座標の個数は n − wt ( c ) n - \wt(c) n − wt ( c ) である. したがって,1 1 1 -サイクルの総数は q ( n − wt ( c ) ) q(n - \wt(c)) q ( n − wt ( c )) である.
一方,c e ≠ 0 c_{e} \neq 0 c e = 0 である座標 e e e では,{ e } × F q \{ e \} \times \F_{q} { e } × F q 上の平行移動は q / p q/p q / p 個の p p p -サイクルに分かれる. そのような座標の個数は wt ( c ) \wt(c) wt ( c ) なので,p p p -サイクルの総数は ( q / p ) wt ( c ) (q/p)\wt(c) ( q / p ) wt ( c ) である. それ以外の長さのサイクルは現れない.
よって σ c \sigma_{c} σ c の巡回指数単項式は
s 1 q ( n − wt ( c ) ) s p ( q / p ) wt ( c ) s_{1}^{q(n - \wt(c))} s_{p}^{(q/p)\wt(c)} s 1 q ( n − wt ( c )) s p ( q / p ) wt ( c )
である.これを c ∈ C c \in C c ∈ C について平均すれば,Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = 1 ∣ C ∣ ∑ c ∈ C s 1 q ( n − wt ( c ) ) s p ( q / p ) wt ( c ) (7.1) \Zcycle_{G(C),\Omega_C}(s_{1}, s_{2}, \dots)
=
\frac{1}{\card{C}}
\sum_{c \in C}
s_{1}^{q(n - \wt(c))} s_{p}^{(q/p)\wt(c)}
\tag{7.1} Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = ∣ C ∣ 1 c ∈ C ∑ s 1 q ( n − wt ( c )) s p ( q / p ) wt ( c ) ( 7.1 ) (7.1) を得る.
証明終わり □
このように,符号から得られる置換群の普通の巡回指数が Hamming重み多項式を記録するという見方は, Cameron [Cam02] に現れるものです. 本稿では,この見方を,後で完全重み多項式に対応するように 平行移動量付きに精密化します.
定理 7.2(符号の置換群の巡回指数) C ≤ F q E C \leq \F_{q}^{E} C ≤ F q E を線形符号とし,q = p m q = p^{m} q = p m とする. 上で定めた置換群 G ( C ) G(C) G ( C ) の巡回指数は
Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = 1 ∣ C ∣ ∑ c ∈ C s 1 q ( n − wt ( c ) ) s p ( q / p ) wt ( c ) (7.1) \Zcycle_{G(C),\Omega_C}(s_{1}, s_{2}, \dots)
=
\frac{1}{\card{C}}
\sum_{c \in C}
s_{1}^{q(n - \wt(c))} s_{p}^{(q/p)\wt(c)}
\tag{7.1} Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = ∣ C ∣ 1 c ∈ C ∑ s 1 q ( n − wt ( c )) s p ( q / p ) wt ( c ) ( 7.1 )
である. 定理 7.2 から,G ( C ) G(C) G ( C ) の巡回指数は C C C の重み多項式を本質的に含んでいることが分かります. 分数冪を使わずに読むには,
U 0 = s 1 q , U 1 = s p q / p U_{0} = s_{1}^{q},
\qquad
U_{1} = s_{p}^{q/p} U 0 = s 1 q , U 1 = s p q / p
とおきます. すると Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = 1 ∣ C ∣ ∑ c ∈ C s 1 q ( n − wt ( c ) ) s p ( q / p ) wt ( c ) (7.1) \Zcycle_{G(C),\Omega_C}(s_{1}, s_{2}, \dots)
=
\frac{1}{\card{C}}
\sum_{c \in C}
s_{1}^{q(n - \wt(c))} s_{p}^{(q/p)\wt(c)}
\tag{7.1} Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = ∣ C ∣ 1 c ∈ C ∑ s 1 q ( n − wt ( c )) s p ( q / p ) wt ( c ) ( 7.1 ) (7.1) は
Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = 1 ∣ C ∣ W C ( U 0 , U 1 ) \Zcycle_{G(C),\Omega_C}(s_{1}, s_{2}, \dots)
=
\frac{1}{\card{C}} W_{C}(U_{0}, U_{1}) Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = ∣ C ∣ 1 W C ( U 0 , U 1 )
と書けます. つまり,普通の巡回指数では s 1 s_{1} s 1 と s p s_{p} s p がそれぞれ U 0 U_{0} U 0 と U 1 U_{1} U 1 の材料になっており,
1 ∣ C ∣ W C ( U 0 , U 1 ) \frac{1}{\card{C}} W_{C}(U_{0}, U_{1}) ∣ C ∣ 1 W C ( U 0 , U 1 )
が得られます. ここでは s 1 s_{1} s 1 や s p s_{p} s p そのものではなく,それらの冪 U 0 , U 1 U_{0}, U_{1} U 0 , U 1 を重み多項式の変数として読んでいます.
つまり,符号語のHamming重みは,対応する置換の巡回型として読むことができます. 零座標は q q q 個の不動点を生み,非零座標は q / p q/p q / p 個の p p p -サイクルを生みます. この意味で,重み多項式は巡回指数の特殊化です.
§8 普通の巡回指数から完全巡回指数へ
前節で見た普通の巡回指数は,Hamming重み多項式を記録するには十分です. しかし,普通の巡回指数には一つ弱点があります. 普通の巡回指数は,置換を単なる置換として見て,サイクル長だけを記録します. そのため,各非零成分 c e ≠ 0 c_{e} \neq 0 c e = 0 の値が何であるかを区別しません.
例えば,q = 5 q = 5 q = 5 のとき,c e = 1 c_{e} = 1 c e = 1 でも c e = 2 c_{e} = 2 c e = 2 でも, 平行移動 a ↦ a + c e a \mapsto a + c_{e} a ↦ a + c e は 5 5 5 -サイクルになります. したがって,普通の巡回指数だけでは 1 1 1 と 2 2 2 の違いは見えません. Hamming重み多項式では非零値をすべて同一視するので問題ありませんが, MacWilliams恒等式をより自然に巡回指数の言葉で書くには, 各座標での平行移動量を記録する精密化が便利です.
ここで残したいのは,Ω C = E × F q \Omega_C=E\times\F_q Ω C = E × F q の座標ファイバー { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q と,その上で使う平行移動量 c e c_e c e という追加のラベル情報です. この情報は,置換 σ c \sigma_c σ c の巡回型だけから復元できるものではありません. 符号から作る平行移動置換群という特別な状況で,完全重み多項式と対応するように, このラベル付き情報を記録します.
そこで,各 a ∈ F q a \in \F_{q} a ∈ F q に変数 x a x_{a} x a を用意します. ここでの x a x_a x a は完全重み多項式の変数であり,普通の巡回指数を表す Z G , Ω \Zcycle_{G,\Omega} Z G , Ω とは別の記号です. 符号語 c ∈ C c \in C c ∈ C に対して,単項式
∏ e ∈ E x c e \prod_{e \in E} x_{c_{e}} e ∈ E ∏ x c e
を対応させます. これは,各座標ファイバー { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q でどの平行移動 a ↦ a + c e a \mapsto a + c_{e} a ↦ a + c e を使っているかを記録しています.
定義8.1(完全重み多項式).
線形符号 C ≤ F q E C \leq \F_{q}^{E} C ≤ F q E の完全重み多項式 (complete weight enumerator ) を
cwe C ( ( x a ) a ∈ F q ) = ∑ c ∈ C ∏ e ∈ E x c e \cwe_{C}((x_{a})_{a \in \F_{q}})
=
\sum_{c \in C} \prod_{e \in E} x_{c_{e}} cwe C (( x a ) a ∈ F q ) = c ∈ C ∑ e ∈ E ∏ x c e
で定める.
完全重み多項式版MacWilliams恒等式そのものの標準的な扱いについては, MacWilliams–Sloane [MS77, Chapters 5 and 19] を参照してください. ただし,本稿で強調するのは,この恒等式を 符号から作る平行移動置換群の完全巡回指数として読む点です.
定義8.2(完全巡回指数).
線形符号 C ≤ F q E C \leq \F_{q}^{E} C ≤ F q E に対して,
cZ C ( ( x a ) a ∈ F q ) = 1 ∣ C ∣ ∑ c ∈ C ∏ e ∈ E x c e \cZ_{C}((x_{a})_{a \in \F_{q}})
=
\frac{1}{\card{C}}
\sum_{c \in C} \prod_{e \in E} x_{c_{e}} cZ C (( x a ) a ∈ F q ) = ∣ C ∣ 1 c ∈ C ∑ e ∈ E ∏ x c e
と定める. これを本稿では C C C の完全巡回指数 (complete cycle index ) と呼ぶ.
この定義では
cwe C ( ( x a ) a ∈ F q ) = ∣ C ∣ cZ C ( ( x a ) a ∈ F q ) \cwe_C((x_{a})_{a \in \F_{q}})
=
\card{C}\,\cZ_{C}((x_{a})_{a \in \F_{q}}) cwe C (( x a ) a ∈ F q ) = ∣ C ∣ cZ C (( x a ) a ∈ F q )
です. つまり,完全巡回指数は完全重み多項式を群の元にわたる平均として正規化したものです. 注意しておくと,本稿でいう完全巡回指数は,一般の置換群に対して標準的に定義される普通の巡回指数そのものではありません. 普通の巡回指数が置換のサイクル長だけを見るのに対して,本稿の cZ C \cZ_C cZ C は, 座標ファイバー { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q と平行移動量 c e c_e c e という符号由来のラベルを残した記録です. したがって,cZ C \cZ_C cZ C は置換の巡回型だけから定まる量ではなく, 符号語 c c c の座標値 c e c_e c e を含む表示に依存しています. 文献でいう complete cycle index は,置換のサイクル長と群元の情報を変数 s ( h , i ) s(h,i) s ( h , i ) などとして記録する,より大きな多項式として定義されることがあります. 本稿の cZ C \cZ_C cZ C は,符号から来る平行移動置換群に限り,その情報を完全重み多項式に直接対応する形まで特殊化し,さらに ∣ C ∣ \card{C} ∣ C ∣ で割って平均化したものとして用います. この見方は,三枝崎–大浦 [MO19] が扱う完全巡回指数と完全重み多項式の関係に沿っています. 本稿では,そのうちMacWilliams恒等式の変数変換に必要な部分だけを取り出して説明します.
Hamming重み多項式は,完全重み多項式の特殊化です. 実際,
x 0 = X , x a = Y ( a ≠ 0 ) x_{0} = X,
\qquad
x_{a} = Y \quad(a \neq 0) x 0 = X , x a = Y ( a = 0 )
と置けば,任意の c ∈ C c \in C c ∈ C について
∏ e ∈ E x c e = X n − wt ( c ) Y wt ( c ) \prod_{e \in E} x_{c_{e}}
= X^{n - \wt(c)} Y^{\wt(c)} e ∈ E ∏ x c e = X n − wt ( c ) Y wt ( c )
となるので,
cwe C ( ( x a ) ) ∣ x 0 = X , x a = Y ( a ≠ 0 ) = W C ( X , Y ) \cwe_{C}((x_{a}))\bigg|_{x_{0} = X,\, x_{a} = Y \, (a \neq 0)}
= W_{C}(X,Y) cwe C (( x a )) x 0 = X , x a = Y ( a = 0 ) = W C ( X , Y )
です.
ここで重要なのは,MacWilliams恒等式の変数変換
X ↦ X + ( q − 1 ) Y , Y ↦ X − Y X \mapsto X + (q - 1)Y,
\qquad
Y \mapsto X - Y X ↦ X + ( q − 1 ) Y , Y ↦ X − Y
は,完全重み多項式のレベルではもっと対称的な変換から出てくるということです. その変換は,有限体 F q \F_q F q の加法群 ( F q , + ) (\F_q,+) ( F q , + ) の指標表によって与えられます. 次節でそれを見ます.
§9 一座標の指標表変換
ここから先では,有限集合 F q \F_q F q 上の変数を,有限Fourier変換のように変換します. その変換を記述する基底が,加法群 ( F q , + ) (\F_q,+) ( F q , + ) の指標です.
MacWilliams恒等式を完全重み多項式のレベルで証明するために, 有限体 F q \F_{q} F q の非自明な加法指標を一つ固定します. すなわち,写像 ψ : F q → C × \psi \colon \F_{q} \to \C^{\times} ψ : F q → C × であって,
ψ ( a + b ) = ψ ( a ) ψ ( b ) \psi(a + b) = \psi(a)\psi(b) ψ ( a + b ) = ψ ( a ) ψ ( b )
を満たし,かつ恒等的に 1 1 1 ではないものを取ります. 特に q = p q=p q = p の場合は,ψ ( a ) = exp ( 2 π − 1 a / p ) \psi(a)=\exp(2\pi \sqrt{-1}a/p) ψ ( a ) = exp ( 2 π − 1 a / p ) と考えればよいです. 一般の q = p m q=p^m q = p m では,F q \F_q F q から F p \F_p F p へのトレース写像を使って
ψ ( a ) = exp ( 2 π − 1 p Tr F q / F p ( a ) ) \psi(a) =
\exp\left(
\frac{2 \pi \sqrt{-1}}{p}
\Tr_{\F_{q}/\F_{p}}(a)
\right) ψ ( a ) = exp ( p 2 π − 1 Tr F q / F p ( a ) )
と定めることで,そのような加法指標が得られます. ここで Tr F q / F p ( a ) \Tr_{\F_q/\F_p}(a) Tr F q / F p ( a ) は F p \F_p F p の元ですが,指数関数の中では代表元 0 , 1 , … , p − 1 0,1,\dots,p-1 0 , 1 , … , p − 1 で表して整数として読んでいます.
有限群上のFourier解析や指標表の標準的な背景については, Terras [Ter99] を参照してください. また,有限体のトレース写像と加法指標については Lidl–Niederreiter [LN83] が標準的です.
本稿で使う性質は次の一つだけです.
補題9.1.
b ∈ F q b \in \F_{q} b ∈ F q に対して
∑ a ∈ F q ψ ( a b ) = { q , b = 0 , 0 , b ≠ 0 \sum_{a \in \F_{q}}\psi(ab)
=
\begin{cases}
q, & b = 0,\\
0, & b \neq 0
\end{cases} a ∈ F q ∑ ψ ( ab ) = { q , 0 , b = 0 , b = 0
が成り立つ.
証明 b = 0 b = 0 b = 0 なら,すべての a ∈ F q a \in \F_{q} a ∈ F q に対して ψ ( a b ) = ψ ( 0 ) = 1 \psi(ab) = \psi(0) = 1 ψ ( ab ) = ψ ( 0 ) = 1 なので,和は q q q である.
b ≠ 0 b \neq 0 b = 0 とする.このとき a ↦ a b a \mapsto ab a ↦ ab は F q \F_{q} F q の全単射なので,
∑ a ∈ F q ψ ( a b ) = ∑ t ∈ F q ψ ( t ) \sum_{a \in \F_{q}} \psi(ab)
= \sum_{t \in \F_{q}} \psi(t) a ∈ F q ∑ ψ ( ab ) = t ∈ F q ∑ ψ ( t )
である.右辺を S S S とおく. ψ \psi ψ は非自明なので,ある d ∈ F q d \in \F_{q} d ∈ F q が存在して ψ ( d ) ≠ 1 \psi(d) \neq 1 ψ ( d ) = 1 である. t t t が F q \F_{q} F q 全体を動くとき,t + d t + d t + d も F q \F_{q} F q 全体を動くので,
S = ∑ t ∈ F q ψ ( t + d ) = ∑ t ∈ F q ψ ( t ) ψ ( d ) = ψ ( d ) S . S
=
\sum_{t \in \F_{q}}\psi(t + d)
=
\sum_{t \in \F_{q}}\psi(t)\psi(d)
=
\psi(d)S. S = t ∈ F q ∑ ψ ( t + d ) = t ∈ F q ∑ ψ ( t ) ψ ( d ) = ψ ( d ) S .
ψ ( d ) ≠ 1 \psi(d) \neq 1 ψ ( d ) = 1 だから S = 0 S = 0 S = 0 である.
証明終わり □
次に,変数 x a x_{a} x a に対する一座標変換を定めます. 各 b ∈ F q b \in \F_{q} b ∈ F q に対して
とおきます. これは,F q \F_{q} F q の加法群 ( F q , + ) (\F_q,+) ( F q , + ) の指標表を変数ベクトル ( x a ) a ∈ F q (x_{a})_{a \in \F_{q}} ( x a ) a ∈ F q に掛けているものです. 実際,b ∈ F q b \in \F_q b ∈ F q に対して
χ b ( a ) = ψ ( a b ) \chi_b(a)=\psi(ab) χ b ( a ) = ψ ( ab )
とおくと,χ b \chi_b χ b は ( F q , + ) (\F_q,+) ( F q , + ) の加法指標であり,b b b が F q \F_q F q 全体を動くと,すべての加法指標が一度ずつ現れます. 添字の置き方は規約の問題ですが,本稿では新しい b b b 番目の変数を x b ∗ = ∑ a ψ ( a b ) x a x_b^\ast=\sum_a\psi(ab)x_a x b ∗ = ∑ a ψ ( ab ) x a で定めることにします. 文献によっては ψ ( − a b ) \psi(-ab) ψ ( − ab ) を使ったり,転置行列で書いたりする規約もあります. 本稿の規約では,後で展開したときに ∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) \sum_{c\in C}\psi(u\cdot c) ∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) が現れるように x b ∗ = ∑ a ψ ( a b ) x a x_b^\ast=\sum_a\psi(ab)x_a x b ∗ = ∑ a ψ ( ab ) x a と定めています. 行と列を a , b ∈ F q a, b \in \F_{q} a , b ∈ F q で添字づけた行列
H a , b = ψ ( a b ) H_{a, b} = \psi(ab) H a , b = ψ ( ab )
を考えると,x b ∗ ≔ ∑ a ∈ F q ψ ( a b ) x a (9.1) x_{b}^{\ast}
\coloneqq
\sum_{a \in \F_{q}} \psi(ab) x_{a}
\tag{9.1} x b ∗ : = a ∈ F q ∑ ψ ( ab ) x a ( 9.1 ) (9.1) は
x b ∗ = ∑ a ∈ F q H a , b x a x_{b}^{\ast} = \sum_{a \in \F_{q}} H_{a, b} x_{a} x b ∗ = a ∈ F q ∑ H a , b x a
と書けます.
Pólya計数では,巡回指数に
s ℓ ↦ ∑ a ∈ A w a ℓ s_{\ell} \mapsto \sum_{a \in A} w_{a}^{\ell} s ℓ ↦ a ∈ A ∑ w a ℓ
を代入しました. ここでは,完全巡回指数に対して,加法群 ( F q , + ) (\F_q,+) ( F q , + ) の指標表による変数変換を代入します. この変換が,双対符号の完全重み多項式を生みます.
§10 完全重み多項式版MacWilliams恒等式と完全巡回指数
完全重み多項式に対するMacWilliams恒等式を証明します. これは,完全巡回指数に対する変数変換の公式でもあります.
定理10.1(完全重み多項式版MacWilliams恒等式).
C ≤ F q E C \leq \F_{q}^{E} C ≤ F q E を線形符号とする. 各 b ∈ F q b \in \F_{q} b ∈ F q に対して
x b ∗ = ∑ a ∈ F q ψ ( a b ) x a x_{b}^{\ast}
= \sum_{a \in \F_{q}}\psi(ab) x_{a} x b ∗ = a ∈ F q ∑ ψ ( ab ) x a
と定める.このとき
cwe C ⊥ ( ( x a ) a ∈ F q ) = 1 ∣ C ∣ cwe C ( ( x b ∗ ) b ∈ F q ) (10.1) \cwe_{C^{\perp}}((x_{a})_{a \in \F_{q}})
=
\frac{1}{\card{C}}
\cwe_{C}((x_{b}^{\ast})_{b \in \F_{q}})
\tag{10.1} cwe C ⊥ (( x a ) a ∈ F q ) = ∣ C ∣ 1 cwe C (( x b ∗ ) b ∈ F q ) ( 10.1 )
が成り立つ.
証明 右辺の分子を展開する.
cwe C ( ( x b ∗ ) b ∈ F q ) = ∑ c ∈ C ∏ e ∈ E x c e ∗ = ∑ c ∈ C ∏ e ∈ E ( ∑ u e ∈ F q ψ ( u e c e ) x u e ) = ∑ c ∈ C ∑ u ∈ F q E ( ∏ e ∈ E ψ ( u e c e ) ) ∏ e ∈ E x u e . \begin{aligned}
\cwe_{C}((x_{b}^{\ast})_{b \in \F_{q}})
&=
\sum_{c \in C} \prod_{e \in E} x_{c_{e}}^\ast \\
&=
\sum_{c \in C} \prod_{e \in E}
\left(
\sum_{u_{e} \in \F_{q}} \psi(u_{e} c_{e}) x_{u_{e}}
\right) \\
&=
\sum_{c \in C}
\sum_{u \in \F_q^E}
\left(\prod_{e \in E} \psi(u_{e} c_{e}) \right)
\prod_{e \in E} x_{u_{e}}.
\end{aligned} cwe C (( x b ∗ ) b ∈ F q ) = c ∈ C ∑ e ∈ E ∏ x c e ∗ = c ∈ C ∑ e ∈ E ∏ u e ∈ F q ∑ ψ ( u e c e ) x u e = c ∈ C ∑ u ∈ F q E ∑ ( e ∈ E ∏ ψ ( u e c e ) ) e ∈ E ∏ x u e .
加法指標の性質より
∏ e ∈ E ψ ( u e c e ) = ψ ( ∑ e ∈ E u e c e ) = ψ ( u ⋅ c ) \prod_{e \in E} \psi(u_{e} c_{e})
=
\psi\left(\sum_{e \in E} u_{e} c_{e} \right)
=
\psi(u \cdot c) e ∈ E ∏ ψ ( u e c e ) = ψ ( e ∈ E ∑ u e c e ) = ψ ( u ⋅ c )
である.したがって和の順序を入れ替えると
cwe C ( ( x b ∗ ) ) = ∑ u ∈ F q E ( ∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) ) ∏ e ∈ E x u e . (10.2) \cwe_{C}((x_{b}^{\ast}))
=
\sum_{u \in \F_{q}^{E}}
\left(
\sum_{c \in C} \psi(u \cdot c)
\right)
\prod_{e \in E} x_{u_{e}}.
\tag{10.2} cwe C (( x b ∗ )) = u ∈ F q E ∑ ( c ∈ C ∑ ψ ( u ⋅ c ) ) e ∈ E ∏ x u e . ( 10.2 )
ここで内側の和を調べる. u ∈ C ⊥ u \in C^{\perp} u ∈ C ⊥ なら,任意の c ∈ C c \in C c ∈ C に対して u ⋅ c = 0 u \cdot c = 0 u ⋅ c = 0 なので,
∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) = ∣ C ∣ \sum_{c \in C}\psi(u \cdot c) = \card{C} c ∈ C ∑ ψ ( u ⋅ c ) = ∣ C ∣
である. 一方,u ∉ C ⊥ u \notin C^{\perp} u ∈ / C ⊥ なら,ある c 0 ∈ C c_{0} \in C c 0 ∈ C が存在して u ⋅ c 0 ≠ 0 u \cdot c_{0} \neq 0 u ⋅ c 0 = 0 である. d ≔ u ⋅ c 0 d \coloneqq u \cdot c_{0} d : = u ⋅ c 0 とおくと d ≠ 0 d \neq 0 d = 0 である. 和
S = ∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) S = \sum_{c \in C} \psi(u \cdot c) S = c ∈ C ∑ ψ ( u ⋅ c )
を考える. λ ∈ F q \lambda \in \F_{q} λ ∈ F q を後で選ぶ.C C C は線形符号なので,λ c 0 ∈ C \lambda c_{0} \in C λ c 0 ∈ C であり, c c c が C C C 全体を動くとき c + λ c 0 c + \lambda c_{0} c + λ c 0 も C C C 全体を一度ずつ動く. よって
S = ∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ ( c + λ c 0 ) ) = ∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) ψ ( λ d ) = ψ ( λ d ) S . S
=
\sum_{c \in C} \psi(u \cdot (c + \lambda c_{0}))
=
\sum_{c \in C} \psi(u \cdot c) \psi(\lambda d)
=
\psi(\lambda d)S. S = c ∈ C ∑ ψ ( u ⋅ ( c + λ c 0 )) = c ∈ C ∑ ψ ( u ⋅ c ) ψ ( λ d ) = ψ ( λ d ) S .
d ≠ 0 d \neq 0 d = 0 なので λ ↦ λ d \lambda \mapsto \lambda d λ ↦ λ d は全単射であり,ψ \psi ψ が非自明であることから, ある λ ∈ F q \lambda \in \F_{q} λ ∈ F q について ψ ( λ d ) ≠ 1 \psi(\lambda d) \neq 1 ψ ( λ d ) = 1 となる. したがって S = 0 S=0 S = 0 である.
よって
∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) = { ∣ C ∣ , u ∈ C ⊥ , 0 , u ∉ C ⊥ . \sum_{c \in C} \psi(u \cdot c)
=
\begin{cases}
\card{C}, & u\in C^{\perp},\\
0, & u\notin C^{\perp}.
\end{cases} c ∈ C ∑ ψ ( u ⋅ c ) = { ∣ C ∣ , 0 , u ∈ C ⊥ , u ∈ / C ⊥ .
これを cwe C ( ( x b ∗ ) ) = ∑ u ∈ F q E ( ∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) ) ∏ e ∈ E x u e . (10.2) \cwe_{C}((x_{b}^{\ast}))
=
\sum_{u \in \F_{q}^{E}}
\left(
\sum_{c \in C} \psi(u \cdot c)
\right)
\prod_{e \in E} x_{u_{e}}.
\tag{10.2} cwe C (( x b ∗ )) = u ∈ F q E ∑ ( c ∈ C ∑ ψ ( u ⋅ c ) ) e ∈ E ∏ x u e . ( 10.2 ) (10.2) に代入すると
cwe C ( ( x b ∗ ) ) = ∣ C ∣ ∑ u ∈ C ⊥ ∏ e ∈ E x u e = ∣ C ∣ cwe C ⊥ ( ( x a ) ) \begin{aligned}
\cwe_{C}((x_{b}^{\ast}))
&=
\card{C}
\sum_{u \in C^{\perp}} \prod_{e \in E} x_{u_{e}} \\
&=
\card{C}\,\cwe_{C^{\perp}}((x_{a}))
\end{aligned} cwe C (( x b ∗ )) = ∣ C ∣ u ∈ C ⊥ ∑ e ∈ E ∏ x u e = ∣ C ∣ cwe C ⊥ (( x a ))
となる.両辺を ∣ C ∣ \card{C} ∣ C ∣ で割れば主張を得る.
証明終わり □
証明の最後で得た等式は,正規化していない完全重み多項式について
cwe C ( ( x b ∗ ) b ∈ F q ) = ∣ C ∣ cwe C ⊥ ( ( x a ) a ∈ F q ) \cwe_{C}((x_{b}^{\ast})_{b \in \F_q})
=
\card{C}\,\cwe_{C^\perp}((x_{a})_{a \in \F_q}) cwe C (( x b ∗ ) b ∈ F q ) = ∣ C ∣ cwe C ⊥ (( x a ) a ∈ F q )
という形です. 一方,cZ C = ∣ C ∣ − 1 cwe C \cZ_C=\card{C}^{-1}\cwe_C cZ C = ∣ C ∣ − 1 cwe C なので,完全巡回指数に指標表変換を施すと
cZ C ( ( x b ∗ ) b ∈ F q ) = cwe C ⊥ ( ( x a ) a ∈ F q ) \cZ_{C}((x_{b}^{\ast})_{b \in \F_q})
=
\cwe_{C^\perp}((x_{a})_{a \in \F_q}) cZ C (( x b ∗ ) b ∈ F q ) = cwe C ⊥ (( x a ) a ∈ F q )
が得られます. つまり,この段階で出てくるのは双対符号の完全重み多項式 です.
完全巡回指数同士で書きたい場合は,さらに cZ C ⊥ = ∣ C ⊥ ∣ − 1 cwe C ⊥ \cZ_{C^\perp}=\card{C^\perp}^{-1}\cwe_{C^\perp} cZ C ⊥ = C ⊥ − 1 cwe C ⊥ を使います. 標準内積が非退化であるため dim C + dim C ⊥ = n \dim C+\dim C^\perp=n dim C + dim C ⊥ = n であり,したがって ∣ C ∣ ∣ C ⊥ ∣ = q n \card{C}\card{C^\perp}=q^n ∣ C ∣ C ⊥ = q n なので,
cZ C ⊥ ( ( x a ) ) = ∣ C ∣ q n cZ C ( ( x b ∗ ) ) \cZ_{C^{\perp}}((x_{a}))
=
\frac{\card{C}}{q^{n}}\,
\cZ_{C}((x_{b}^{\ast})) cZ C ⊥ (( x a )) = q n ∣ C ∣ cZ C (( x b ∗ ))
という形になります. したがって,「本稿の正規化では,完全巡回指数に指標表変換を施すと双対符号の完全重み多項式が出る」という主張と, 「完全巡回指数同士で書くと係数 ∣ C ∣ / q n \card{C}/q^n ∣ C ∣ / q n が付く」という主張を区別して読む必要があります.
この証明は,普通の指標論的証明と非常に近いものです. ただし,ここでは各符号語を「完全巡回指数の単項式」と見て, 指標表変換によって完全巡回指数を変換しています. この意味で,MacWilliams恒等式は
符号から作った平行移動置換群の完全巡回指数に対する指標表変換
として読むことができます.
§11 Hamming重み多項式への特殊化
最後に,完全重み多項式版から通常のMacWilliams恒等式を導きます. 変数を
x 0 = X , x a = Y ( a ≠ 0 ) x_{0} = X,
\qquad
x_{a} = Y \quad(a \neq 0) x 0 = X , x a = Y ( a = 0 )
と特殊化します.
このとき,b = 0 b=0 b = 0 なら
x 0 ∗ = ∑ a ∈ F q x a = X + ( q − 1 ) Y . x_{0}^{\ast}
=
\sum_{a \in \F_{q}} x_{a}
=
X + (q - 1)Y. x 0 ∗ = a ∈ F q ∑ x a = X + ( q − 1 ) Y .
一方,b ≠ 0 b \neq 0 b = 0 なら,補題 9.1 b ∈ F q b \in \F_{q} b ∈ F q に対して
∑ a ∈ F q ψ ( a b ) = { q , b = 0 , 0 , b ≠ 0 \sum_{a \in \F_{q}}\psi(ab)
=
\begin{cases}
q, & b = 0,\\
0, & b \neq 0
\end{cases} a ∈ F q ∑ ψ ( ab ) = { q , 0 , b = 0 , b = 0
が成り立つ. 補題 9.1 より
∑ a ∈ F q ψ ( a b ) = 0 \sum_{a \in \F_{q}} \psi(ab) = 0 a ∈ F q ∑ ψ ( ab ) = 0
なので
x b ∗ = ∑ a ∈ F q ψ ( a b ) x a = x 0 + Y ∑ a ∈ F q × ψ ( a b ) = X + Y ( ∑ a ∈ F q ψ ( a b ) − 1 ) = X − Y . \begin{aligned}
x_{b}^{\ast}
&=
\sum_{a \in \F_{q}} \psi(ab)x_{a} \\
&=
x_{0} + Y \sum_{a \in \F_{q}^{\times}} \psi(ab) \\
&=
X + Y\left( \sum_{a \in \F_{q}} \psi(ab) - 1 \right) \\
&=
X - Y.
\end{aligned} x b ∗ = a ∈ F q ∑ ψ ( ab ) x a = x 0 + Y a ∈ F q × ∑ ψ ( ab ) = X + Y a ∈ F q ∑ ψ ( ab ) − 1 = X − Y .
したがって,完全重み多項式版MacWilliams恒等式
cwe C ⊥ ( ( x a ) ) = 1 ∣ C ∣ cwe C ( ( x b ∗ ) ) \cwe_{C^{\perp}}((x_{a}))
=
\frac{1}{\card{C}}\cwe_{C}((x_{b}^{\ast})) cwe C ⊥ (( x a )) = ∣ C ∣ 1 cwe C (( x b ∗ ))
をこの特殊化で読むと,左辺は W C ⊥ ( X , Y ) W_{C^{\perp}}(X, Y) W C ⊥ ( X , Y ) になり,右辺は
1 ∣ C ∣ W C ( X + ( q − 1 ) Y , X − Y ) \frac{1}{\card{C}}
W_{C}\bigl( X + (q - 1)Y, X - Y \bigr) ∣ C ∣ 1 W C ( X + ( q − 1 ) Y , X − Y )
になります. よって次を得ます.
定理11.1(MacWilliams恒等式).
C ≤ F q E C \leq \F_{q}^{E} C ≤ F q E を線形符号とする.このとき
W C ⊥ ( X , Y ) = 1 ∣ C ∣ W C ( X + ( q − 1 ) Y , X − Y ) W_{C^{\perp}}(X, Y)
=
\frac{1}{\card{C}}
W_{C}\bigl( X + (q - 1)Y, X - Y \bigr) W C ⊥ ( X , Y ) = ∣ C ∣ 1 W C ( X + ( q − 1 ) Y , X − Y )
が成り立つ.
証明
ここまでで,群作用・巡回指数の見方からMacWilliams恒等式に到達しました. 証明の最後だけを見ると指標和の計算に見えますが, その前段階で,符号語を平行移動置換として見て,巡回指数に埋め込んでいる点が今回の見方です.
具体例で確認します. E = { 1 , 2 , 3 } E = \{ 1, 2, 3 \} E = { 1 , 2 , 3 } とし,二元反復符号
C = { 000 , 111 } ≤ F 2 3 C = \{ 000, 111 \} \leq \F_{2}^{3} C = { 000 , 111 } ≤ F 2 3
を考えます.この双対符号は長さ 3 3 3 の二元偶重み符号
C ⊥ = { 000 , 110 , 101 , 011 } C^{\perp} =
\{ 000, 110, 101, 011 \} C ⊥ = { 000 , 110 , 101 , 011 }
です.
まず,C C C から置換群を作ります. 集合は
Ω C = { 1 , 2 , 3 } × F 2 \Omega_{C} = \{ 1, 2, 3 \} \times \F_{2} Ω C = { 1 , 2 , 3 } × F 2
です. 零語 000 000 000 は恒等置換なので,6 6 6 個の不動点を持ちます. 一方,111 111 111 は各コピー { e } × F 2 \{ e \} \times \F_{2} { e } × F 2 上で 0 0 0 と 1 1 1 を入れ替えるので, 三つの 2 2 2 -サイクルを持ちます. したがって普通の巡回指数は
Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = 1 2 ( s 1 6 + s 2 3 ) \Zcycle_{G(C),\Omega_C}(s_{1}, s_{2}, \dots)
=
\frac{1}{2}(s_{1}^{6} + s_{2}^{3}) Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = 2 1 ( s 1 6 + s 2 3 )
です.二元なので,
U 0 = s 1 2 , U 1 = s 2 U_{0} = s_{1}^{2},
\qquad
U_{1} = s_{2} U 0 = s 1 2 , U 1 = s 2
とおけば
2 Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = U 0 3 + U 1 3 = W C ( U 0 , U 1 ) 2\Zcycle_{G(C),\Omega_C}(s_{1}, s_{2}, \dots)
=
U_{0}^{3} + U_{1}^{3}
=
W_{C}(U_{0}, U_{1}) 2 Z G ( C ) , Ω C ( s 1 , s 2 , … ) = U 0 3 + U 1 3 = W C ( U 0 , U 1 )
となります. その後,U 0 = X U_{0}=X U 0 = X , U 1 = Y U_{1}=Y U 1 = Y と読めば
W C ( X , Y ) = X 3 + Y 3 W_{C}(X,Y)=X^{3}+Y^{3} W C ( X , Y ) = X 3 + Y 3
が得られます.
次に完全重み多項式で見ると
cwe C ( x 0 , x 1 ) = x 0 3 + x 1 3 \cwe_{C}(x_{0}, x_{1}) = x_{0}^{3} + x_{1}^{3} cwe C ( x 0 , x 1 ) = x 0 3 + x 1 3
です. したがって,本稿でいう完全巡回指数は
cZ C ( x 0 , x 1 ) = 1 2 ( x 0 3 + x 1 3 ) \cZ_{C}(x_{0}, x_{1}) = \frac{1}{2}(x_{0}^{3} + x_{1}^{3}) cZ C ( x 0 , x 1 ) = 2 1 ( x 0 3 + x 1 3 )
です. F 2 \F_{2} F 2 の非自明な加法指標は ψ ( a ) = ( − 1 ) a \psi(a) = (-1)^{a} ψ ( a ) = ( − 1 ) a なので,指標表変換は
x 0 ∗ = x 0 + x 1 , x 1 ∗ = x 0 − x 1 x_{0}^{\ast} = x_{0} + x_{1},
\qquad
x_{1}^{\ast} = x_{0} - x_{1} x 0 ∗ = x 0 + x 1 , x 1 ∗ = x 0 − x 1
です.したがって
1 ∣ C ∣ cwe C ( x 0 ∗ , x 1 ∗ ) = 1 2 ( ( x 0 + x 1 ) 3 + ( x 0 − x 1 ) 3 ) = x 0 3 + 3 x 0 x 1 2 . \begin{aligned}
\frac{1}{\card{C}} \cwe_{C}(x_{0}^{\ast}, x_{1}^{\ast})
&=
\frac{1}{2}\left((x_{0} + x_{1})^{3} + (x_{0} - x_{1})^{3} \right)\\
&=
x_{0}^{3} + 3x_{0}x_{1}^{2}.
\end{aligned} ∣ C ∣ 1 cwe C ( x 0 ∗ , x 1 ∗ ) = 2 1 ( ( x 0 + x 1 ) 3 + ( x 0 − x 1 ) 3 ) = x 0 3 + 3 x 0 x 1 2 .
一方,偶重み符号 C ⊥ = { 000 , 110 , 101 , 011 } C^{\perp} = \{ 000, 110, 101, 011 \} C ⊥ = { 000 , 110 , 101 , 011 } の完全重み多項式は
cwe C ⊥ ( x 0 , x 1 ) = x 0 3 + 3 x 0 x 1 2 \cwe_{C^{\perp}}(x_{0}, x_{1})
=
x_{0}^{3} + 3x_{0} x_{1}^{2} cwe C ⊥ ( x 0 , x 1 ) = x 0 3 + 3 x 0 x 1 2
です. 確かに完全重み多項式版MacWilliams恒等式が成り立っています.
Hamming重み多項式に特殊化すれば,
W C ( X , Y ) = X 3 + Y 3 , W C ⊥ ( X , Y ) = X 3 + 3 X Y 2 W_{C}(X, Y) = X^{3} + Y^{3},
\qquad
W_{C^{\perp}}(X, Y) = X^{3} + 3XY^{2} W C ( X , Y ) = X 3 + Y 3 , W C ⊥ ( X , Y ) = X 3 + 3 X Y 2
です. MacWilliams恒等式は
1 2 W C ( X + Y , X − Y ) = 1 2 ( ( X + Y ) 3 + ( X − Y ) 3 ) = X 3 + 3 X Y 2 = W C ⊥ ( X , Y ) \begin{aligned}
\frac{1}{2}W_{C}(X + Y, X - Y)
&=
\frac{1}{2}\left((X + Y)^{3} + (X - Y)^{3} \right)\\
&=
X^{3} + 3XY^{2} =
W_{C^{\perp}}(X,Y)
\end{aligned} 2 1 W C ( X + Y , X − Y ) = 2 1 ( ( X + Y ) 3 + ( X − Y ) 3 ) = X 3 + 3 X Y 2 = W C ⊥ ( X , Y )
となります.
この例では,普通の巡回指数は,正規化を戻して適切に特殊化すると W C ( X , Y ) = X 3 + Y 3 W_{C}(X, Y) = X^{3} + Y^{3} W C ( X , Y ) = X 3 + Y 3 になる情報を記録しています. また,完全巡回指数そのものは 1 2 ( x 0 3 + x 1 3 ) \frac{1}{2}(x_{0}^{3} + x_{1}^{3}) 2 1 ( x 0 3 + x 1 3 ) であり, 正規化を戻せば完全重み多項式 x 0 3 + x 1 3 x_{0}^{3} + x_{1}^{3} x 0 3 + x 1 3 になります. 本稿の正規化では,その完全巡回指数に指標表変換をかけると,双対符号の完全重み多項式が出ます. 完全巡回指数同士で書くには,さらに係数を付けて正規化を合わせます.
§13 この証明で群作用と巡回指数は何をしていたか
今回の証明で群作用と巡回指数が担っていた役割を整理します.
第一に,群作用は符号語を置換として見せました. 符号語 c ∈ C c\in C c ∈ C は,座標ごとに
a ↦ a + c e a\mapsto a+c_e a ↦ a + c e
という平行移動を与えます. この平行移動をすべての座標のコピー { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q に並べることで,符号 C C C から置換群 G ( C ) G(C) G ( C ) が作られました.
第二に,普通の巡回指数はHamming重みを記録しました. 零座標では q q q 個の不動点が現れ,非零座標では q / p q/p q / p 個の p p p -サイクルが現れます. したがって,置換の巡回型から,符号語の零座標数と非零座標数が読み取れます. このため,G ( C ) G(C) G ( C ) の巡回指数は C C C の重み多項式を本質的に含んでいます.
第三に,完全巡回指数は非零値の種類まで記録しました. 普通の巡回指数では,非零の平行移動は同じサイクル型を持つため区別されません. そこで,置換の巡回型だけでなく,各座標ファイバーでの平行移動量 c e ∈ F q c_{e} \in \F_{q} c e ∈ F q というラベル付き情報を変数 x c e x_{c_{e}} x c e として記録しました. この記録が完全重み多項式であり,∣ C ∣ \card{C} ∣ C ∣ で割って正規化したものが本稿でいう完全巡回指数です.
第四に,Pólya計数は「群作用に沿った平均」の意味を与えました. Burnsideの補題では,軌道数は不動点数の平均として現れました. Pólya計数では,巡回指数に変数を代入することで,対称性を考慮した彩色を数えました. 今回の符号理論の証明でも,指標値 ψ ( u ⋅ c ) \psi(u\cdot c) ψ ( u ⋅ c ) を c ∈ C c \in C c ∈ C にわたって平均することで,双対符号 C ⊥ C^{\perp} C ⊥ が取り出されました.
第五に,指標表変換が双対符号を取り出しました. 完全巡回指数の変数に
x b ∗ = ∑ a ∈ F q ψ ( a b ) x a x_{b}^{\ast} = \sum_{a \in \F_{q}} \psi(ab) x_{a} x b ∗ = a ∈ F q ∑ ψ ( ab ) x a
という変換を入れると,展開の中に
∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) \sum_{c \in C}\psi(u\cdot c) c ∈ C ∑ ψ ( u ⋅ c )
が現れます. この和は,u ∈ C ⊥ u \in C^{\perp} u ∈ C ⊥ のときだけ ∣ C ∣ \card{C} ∣ C ∣ になり,それ以外では 0 0 0 になります. これにより,本稿の正規化では,完全巡回指数の変換が双対符号の完全重み多項式になります. 完全巡回指数同士で書くには,さらに ∣ C ∣ / q n \card{C}/q^n ∣ C ∣ / q n の係数を付けます.
要点を一文で言えば,次のようになります.
MacWilliams恒等式は,符号から作った平行移動置換群の完全巡回指数に,有限体 F q \F_q F q の加法群 ( F q , + ) (\F_q,+) ( F q , + ) の指標表変換を施すと,正規化の違いを伴って双対符号の完全重み多項式が現れる,という公式である.
§14 この回で見た概念
この回では,MacWilliams恒等式の証明を目標にしながら,群作用と巡回指数の基本的な道具を導入しました. 整理すると次のようになります.
群作用 群の元を集合上の置換として実現する構造です. 符号理論では,符号語を各座標のコピー { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q 上の平行移動として見ることで群作用が現れました.
軌道 一つの点を群の元で動かして到達できる点全体です. 群作用によって集合は軌道に分解されます.
安定化群 ある点を固定する群の元全体です. 軌道・安定化群定理により,軌道の大きさと安定化群の大きさの積は群の位数になります.
不動点 ある群の元で動かない点です. Burnsideの補題では,不動点数の平均として軌道数を計算しました.
Burnsideの補題 軌道数を不動点数の平均として数える公式です. Pólya計数の基礎になります.
巡回型 置換を互いに交わらないサイクルに分解したときの,サイクル長ごとの個数です.
巡回指数 群の各元の巡回型を単項式として記録し,群全体で平均した多項式です. Pólya計数では,巡回指数に適切な変数を代入することで,彩色の軌道を数えます.
Pólya計数 対称性を考慮した彩色を数える方法です. 長さ ℓ \ell ℓ のサイクルに一つの色を塗ると w a ℓ w_{a}^{\ell} w a ℓ が寄与するため,巡回指数に P ℓ = ∑ a w a ℓ P_{\ell}=\sum_a w_a^\ell P ℓ = ∑ a w a ℓ を代入します.
符号から作る置換群 符号語 c ∈ C c \in C c ∈ C を,E × F q E \times \F_{q} E × F q 上の置換 ( e , a ) ↦ ( e , a + c e ) (e, a) \mapsto (e, a + c_{e}) ( e , a ) ↦ ( e , a + c e ) として見ることで得られる置換群です. その巡回指数は重み多項式を本質的に記録します.
完全巡回指数 普通の巡回指数そのものではなく,符号から来る各座標ファイバーでの平行移動量 c e ∈ F q c_{e} \in \F_{q} c e ∈ F q を変数 x c e x_{c_{e}} x c e として残す,ラベル付きの記録です. 本稿でいう完全巡回指数は,この記録を ∣ C ∣ \card{C} ∣ C ∣ で割って正規化したものであり,正規化を除けば完全重み多項式と同じものです.
指標表変換 有限体 F q \F_q F q の加法群 ( F q , + ) (\F_q,+) ( F q , + ) の指標表による変数変換 x b ∗ = ∑ a ψ ( a b ) x a x_{b}^{\ast} = \sum_{a} \psi(ab) x_{a} x b ∗ = ∑ a ψ ( ab ) x a です. 本稿の正規化では,完全巡回指数にこの変換を施すと,双対符号の完全重み多項式が現れます. 完全巡回指数同士で書くには,さらに ∣ C ∣ / q n \card{C}/q^n ∣ C ∣ / q n の係数を付けます.
§15 今回の系統の振り返り
今回の証明は,表面的には群作用・Burnsideの補題・Pólya計数・巡回指数の証明です. 一方,五つの系統に圧縮すると,これは
Fourier・指標・Poisson系
に近い証明です. 理由は,最終的に双対符号を取り出す原理が
∑ c ∈ C ψ ( u ⋅ c ) = { ∣ C ∣ , u ∈ C ⊥ , 0 , u ∉ C ⊥ \sum_{c\in C}\psi(u\cdot c)
=
\begin{cases}
\card{C}, & u \in C^{\perp},\\
0, & u\notin C^{\perp}
\end{cases} c ∈ C ∑ ψ ( u ⋅ c ) = { ∣ C ∣ , 0 , u ∈ C ⊥ , u ∈ / C ⊥
という指標直交性だからです.
ただし,今回の見方は通常の指標論的証明とは表情が違います. 通常の指標論的証明では,C ⊥ C^{\perp} C ⊥ を指標の零化部分群として直接取り出します. それに対して,本稿では,まず符号を置換群として表し,その巡回指数を重み多項式として解釈したうえで,完全巡回指数に指標表変換を施しました.
したがって,今回の証明の深層にはFourier的な原理がありますが, 表面的な道具立ては群作用と巡回指数です. この違いが,この連載で見たい「同じ定理が違う分野の言葉で見える」という現象です.
§16 次回へ
最後に,連載上の次回予告を述べます. ここまでで,本稿の数学本文は完結しています. 次回は,MacWilliams恒等式を因子グラフと分割関数の側から見ます.
今回の証明では,符号語を置換として見て,群作用に沿った平均や巡回指数の言葉でMacWilliams恒等式を捉えました. 次回は,符号を局所制約の集まりとして見ます. つまり,符号語全体を一つの大きな集合として扱うのではなく, 各座標,各検査式,各状態変数に分解して,グラフ上の分配関数として表します.
次回の主役は,
局所制約 → 因子グラフ → 分割関数 → 双対グラフ → MacWilliams恒等式
です. 同じFourier・指標・Poisson系に属する証明であっても, 次回は「一括で変換する」のではなく, 局所的な変換をグラフ全体に貼り合わせる見方になります.
参考文献 [Cam02] Peter J. Cameron. Cycle index, weight enumerator, and Tutte polynomial . Electron. J. Combin., vol. 9, no. 1, pp. Note 2, 10, 2002. doi:10.37236/1663 引用箇所 巡回指数と符号の重み多項式の関係については, Cameron [Cam02] が, 線形符号に付随する置換群の巡回指数が, 正規化を除いて重み多項式になることを述べています. 完全巡回指数と完全重み多項式の関係については, 三枝崎–大浦 [MO19] を参照してください. また,Pólya計数や巡回指数の古典的な扱いについては Pólya [Ply37] ,Harary–Palmer [HP73] などを参照してください. 置換群の基本事項については Cameron [Cam95] も標準的です. ↩1 引用箇所 このように,符号から得られる置換群の普通の巡回指数が Hamming重み多項式を記録するという見方は, Cameron [Cam02] に現れるものです. 本稿では,この見方を,後で完全重み多項式に対応するように 平行移動量付きに精密化します. ↩2[MO19] Tsuyoshi Miezaki and Manabu Oura. On the cycle index and the weight enumerator . Des. Codes Cryptogr., vol. 87, no. 6, pp. 1237–1242, 2019. doi:10.1007/s10623-018-0518-x 引用箇所 巡回指数と符号の重み多項式の関係については, Cameron [Cam02] が, 線形符号に付随する置換群の巡回指数が, 正規化を除いて重み多項式になることを述べています. 完全巡回指数と完全重み多項式の関係については, 三枝崎–大浦 [MO19] を参照してください. また,Pólya計数や巡回指数の古典的な扱いについては Pólya [Ply37] ,Harary–Palmer [HP73] などを参照してください. 置換群の基本事項については Cameron [Cam95] も標準的です. ↩1 引用箇所 です. つまり,完全巡回指数は完全重み多項式を群の元にわたる平均として正規化したものです. 注意しておくと,本稿でいう完全巡回指数は,一般の置換群に対して標準的に定義される普通の巡回指数そのものではありません. 普通の巡回指数が置換のサイクル長だけを見るのに対して,本稿の cZ C \cZ_C cZ C は, 座標ファイバー { e } × F q \{e\}\times\F_q { e } × F q と平行移動量 c e c_e c e という符号由来のラベルを残した記録です. したがって,cZ C \cZ_C cZ C は置換の巡回型だけから定まる量ではなく, 符号語 c c c の座標値 c e c_e c e を含む表示に依存しています. 文献でいう complete cycle index は,置換のサイクル長と群元の情報を変数 s ( h , i ) s(h,i) s ( h , i ) などとして記録する,より大きな多項式として定義されることがあります. 本稿の cZ C \cZ_C cZ C は,符号から来る平行移動置換群に限り,その情報を完全重み多項式に直接対応する形まで特殊化し,さらに ∣ C ∣ \card{C} ∣ C ∣ で割って平均化したものとして用います. この見方は,三枝崎–大浦 [MO19] が扱う完全巡回指数と完全重み多項式の関係に沿っています. 本稿では,そのうちMacWilliams恒等式の変数変換に必要な部分だけを取り出して説明します. ↩2[Ply37] G. Pólya. Kombinatorische Anzahlbestimmungen für Gruppen, Graphen und chemische Verbindungen . Acta Math., vol. 68, no. 1, pp. 145–254, 1937. doi:10.1007/BF02546665 引用箇所 巡回指数と符号の重み多項式の関係については, Cameron [Cam02] が, 線形符号に付随する置換群の巡回指数が, 正規化を除いて重み多項式になることを述べています. 完全巡回指数と完全重み多項式の関係については, 三枝崎–大浦 [MO19] を参照してください. また,Pólya計数や巡回指数の古典的な扱いについては Pólya [Ply37] ,Harary–Palmer [HP73] などを参照してください. 置換群の基本事項については Cameron [Cam95] も標準的です. ↩[HP73] Frank Harary and Edgar M. Palmer. Graphical enumeration . Academic Press, New York-London, pp. xiv+271, 1973 引用箇所 巡回指数と符号の重み多項式の関係については, Cameron [Cam02] が, 線形符号に付随する置換群の巡回指数が, 正規化を除いて重み多項式になることを述べています. 完全巡回指数と完全重み多項式の関係については, 三枝崎–大浦 [MO19] を参照してください. また,Pólya計数や巡回指数の古典的な扱いについては Pólya [Ply37] ,Harary–Palmer [HP73] などを参照してください. 置換群の基本事項については Cameron [Cam95] も標準的です. ↩[Cam95] Peter J. Cameron. Permutation groups . Handbook of combinatorics, Vol.\ 1,\ 2, pp. 611–645, 1995 引用箇所 巡回指数と符号の重み多項式の関係については, Cameron [Cam02] が, 線形符号に付随する置換群の巡回指数が, 正規化を除いて重み多項式になることを述べています. 完全巡回指数と完全重み多項式の関係については, 三枝崎–大浦 [MO19] を参照してください. また,Pólya計数や巡回指数の古典的な扱いについては Pólya [Ply37] ,Harary–Palmer [HP73] などを参照してください. 置換群の基本事項については Cameron [Cam95] も標準的です. ↩[MS77] F. J. MacWilliams and N. J. A. Sloane. The theory of error-correcting codes. II . North-Holland Publishing Co., Amsterdam-New York-Oxford, vol. Vol. 16, pp. i–ix and 370–762, 1977 引用箇所 完全重み多項式版MacWilliams恒等式そのものの標準的な扱いについては, MacWilliams–Sloane [MS77, Chapters 5 and 19] を参照してください. ただし,本稿で強調するのは,この恒等式を 符号から作る平行移動置換群の完全巡回指数として読む点です. ↩[Ter99] Audrey Terras. Fourier analysis on finite groups and applications . Cambridge University Press, Cambridge, vol. 43, pp. x+442, 1999. doi:10.1017/CBO9780511626265 引用箇所 有限群上のFourier解析や指標表の標準的な背景については, Terras [Ter99] を参照してください. また,有限体のトレース写像と加法指標については Lidl–Niederreiter [LN83] が標準的です. ↩[LN83] Rudolf Lidl and Harald Niederreiter. Finite fields . Addison-Wesley Publishing Company, Advanced Book Program, Reading, MA, vol. 20, pp. xx+755, 1983 引用箇所 有限群上のFourier解析や指標表の標準的な背景については, Terras [Ter99] を参照してください. また,有限体のトレース写像と加法指標については Lidl–Niederreiter [LN83] が標準的です. ↩